ひつじ図書館

本と映画の感想ブログです。SFおおめ、恋愛すくなめ。

『ホモ・サピエンスの涙』を観た

2019年製作、スウェーデン・ドイツ・ノルウェー合作。原題はAbout Endlessness

 

 

www.youtube.com

 

 

曇り空を背景に、沈んだ表情の人々が淡々と画面に映されていく。彼らに救いは訪れない。ハッピーエンドは無い。しかし描かれるのは絶望だけではない。ささやかな、本当にささやかな幸せを手にする人々も登場する。

 

 

バラバラな内容(同じ人物が登場することもある)のカットが、それぞれを説明するようなナレーション(例えば「男を見た。間違った道を選んでいた」のような)と暗転を挟みながら映されていきます。何故か「飛ぶ孔雀」みたいだと思い、映画好きの友人を誘って観てきました。感想は二人そろって「何だかよくわからなかったね。」でしたが。

 

bookreviewofsheep.hatenablog.com

 

 

 

分からなかったなりに気になった点を挙げていくと、

 

最初と最後に登場する、「久しぶりに会った友達にシカトされた」と訴える男性。何故彼だけが観客に語りかけてくるのか?

友達によると「エゴの強さを表しているのでは」とのこと。確かに、二度目の登場の時には、自分よりも成績が悪かった友達が博士号をとっていたことに嫉妬し、自分と彼を比べていじけ、その姿を妻に呆れられていました。沈黙が多い本作には珍しい長広舌でしたね。

いずれにせよ、作中で唯一目を合わせて語りかけてくる人物だったので記憶に残っています。

 

高頻度で登場する「信仰を失った牧師」。作中で一番目立っていた人でしょう。とにかく登場回数が多い。夢の中で十字架を負い責め立てられながら坂を上る場面。精神科医(?)に相談する場面。酔いながら聖体拝領をする場面。精神科医のもとから追い返される場面。覚えているだけでもこんなにある。最後に彼に救いが訪れることを期待してましたが、そんな展開はありませんでしたね。

 

「間違った道を選んでいた」男性。花束を持ってレストランに現れ、一人で座っている女性に名を尋ねるが、「別人だ」と言われる。そこにガタイがいい男性がトイレから帰ってきて、女性の隣に座る。どうやら女性には連れがいたようだ。花束をもった男性は店から退散し、ナレーションが「男を見た。間違った道を選んでいた」と告げる。

彼は一体何を間違えたのでしょうか。

 

「愛をまだ見つけらずにいた」男と「自分の望みが分からなくなった」と涙する男。不思議とこの二人が抱える事情は「はてしない物語」で元・帝王たちの都を訪れた主人公バスチアンの境遇と一致します。バスチアンは「人を愛する」という真の望みを見つけられましたが、彼らは果たして。

 

 

こうして振り返ってみると、なんとも不思議な映画でしたね。