ひつじ図書協会

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4月は「聞き覚えがあるSF」を読む月間

 こんにちは、対面授業が復活したはいいけど、長すぎる通学時間を持て余しているsheep2015です。

 

 というわけで、2022年4月から「聞き覚えがあるSF」を読む月間を開催しています。ルールは簡単。①一週間に一度、古本屋に行ってタイトルに見覚えのあるSFを買い漁る ②通学中に読む。それだけです。

 この記事では、買った本の感想を順次記録していきます。ただ、「買った本は全部読まなくちゃいけない」みたいなルールを課すとなんだか窮屈なので、いつか読む時が来るのを期して放置するのもありとします。

 

 ちなみにこちらは、2022年4月までに読んだ海外SFについての記事です。併せてどうぞ。

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リングワールド

 ラリイ・ニーヴン作。早川書房から出ている「SFハンドブック」に載っていたのを覚えていたので購入。

 

 恒星をぐるりと取り囲む謎の巨大構造物「リングワールド」を冒険する話。ヒューゴー/ネビュラ賞受賞作。巨大構造物つながりの「我らはレギオン4 驚異のシリンダー世界」のルーツともいえる作品。

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太陽風交点

 堀晃作。第一回日本SF大賞受賞作ということで購入。日本SFの歴史を調べている時に、なんだかんだで名前を聞くことは多かった気がする作品。

 

 死んだ恋人のコピーであるAIからの呼びかけに応えて、はるか遠くの星系へ旅する話。表題作の他にも、電送(ワープ)中の事故により、異次元へと飛ばされた都市を巡る「電送都市」などを収録。

 

神への長い道

 小松左京作。「グイン・サーガ」108巻、「パロへの長い道」のタイトルの元ネタということで覚えていたので購入。

 

 進歩に倦んだ人類が、異星文明の廃墟で新たな進歩の道を見出す話。表題作の他にも、恒星間航行中の宇宙船内で、乗組員たちが次々と謎の失踪を遂げていくミステリー調の「飢えた宇宙」などを収録。

 

あなたの人生の物語

 テッド・チャン作。「ばかうけ」で画像検索するとヒットする映画「メッセージ」の原作ということで覚えていたので購入。

 ある言語学者が、生まれてくる娘に向けて未来の思い出を語りながら、異星人とのコミュニケーションを試みる話。表題作の他にもバベルの塔の建設を「科学的に」描いた「バビロンの塔」や、多くの作家によってタイトルがオマージュされている「地獄とは神の不在なり」などを収録。

 

 「息吹」もそうなんだけど、テッド・チャンの短編は掘り下げたくなる話ばかりで、収録作すべてについて色々と語りたくなってくる。

 

闇の左手

 アーシュラ・K・ル・グウィン作。こちらも、先述の「SFハンドブック」で見た一冊。作者が「ゲド戦記」の人だったので覚えていた。

 

 「ケメル」と呼ばれる期間を除いて性の別がない人々の住む星に、一人っきりで派遣された使節の話。星間連合への加盟を促そうと奮闘する主人公の前に、男と女のそれよりも深い「性がある者とない者」の間の深くて暗い溝が横たわる。ヒューゴー/ネビュラ賞受賞作。

 

 地名などの固有名詞が結構多めでちょっと読みづらいけど、それも含めてル=グウィンぽいなぁと思ったり。

 

高い城の男

 フィリップ・K・ディック作。ディックと言えば「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のイメージだったけど、こちらも有名らしい。前に並行世界がテーマのSFについて調べていた時に見つけたので覚えていた。どちらかというと歴史改変もののような気もするが気にしない。

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 ナチスと大日本帝国が第二次大戦に勝利した世界線の話。作中でも、「高い城の男」と似たような設定の本を書いている作家が出てくる入れ子構造になってて面白い。ヒューゴー賞受賞作。

 

ゴルディアスの結び目

 ふたたび小松左京作。ツイッターのフォロワーさんで、プロフィールにこのタイトルを書いている人がいたので購入。

 

 ブラックホールと精神疾患を紐づけた表題作が面白い。ところで、登場人物が三点リーダーを多用しながら哲学的な思索を延々と巡らすこの感じ、どこかで見覚えがあると思ったら「グイン・サーガ」だよ。

 

 「神への長い道」のこともあるし、やっぱり栗本薫は小松左京の影響を大いに受けてることが分かって面白かった。

 

たったひとつの冴えたやりかた

 ジェイムズ・ティプトリー・Jr作。どこかで一回だけ聞いたこのタイトル、すごく印象的で覚えていた。本棚からとりだしたら、とてもいい表紙で一目で気に入って購入。

 

 異星の大学図書館にて、年老いた司書が若いカップルに紹介する「ヒューマン」にまつわる3つの物語の連作。表題作は最初の一つなんだけど、宇宙に憧れる女の子の冒険物語かと思ったら意外な展開が待っていてちょっとびっくり。

 

虎よ、虎よ!

 本屋でハヤカワ文庫の棚を見る度に気になってた作品。背表紙のタイトルだけでこんなに目立てるのはすごい。

 

 「ジョウント」と呼ばれるテレポーテーション能力が流布した世界で、平凡な男がある出来事をきっかけに復讐の鬼になる話。「モンテ・クリスト伯」みが強い。終盤で、筒井康隆の「エディプスの恋人」で出てきたみたいな、すんごいページが出てくる。

 

鋼鉄都市

 アイザック・アシモフ作。これも「SFハンドブック」で、何人かの人が「マイベストSF」に入れていたので覚えていた。

 

 古本屋の帰りに会った友達に、「本が読みたい」と言われたのでプレゼントして、もう一度おなじ店で買い直しました。

 

 80億の人間が徹底的に管理された「共同生活」を送るディストピアな設定がとてもいい。あと、序盤の靴屋の暴動のシーンに登場する、ロボットを毛嫌いするオバサンの描写がとてもリアル。いるよね、こういう人。

 

 ところで、ロボットと人間がタッグを組んで捜査をするってなると「開けろ!デトロイト市警だ!」を思い出すのは私だけ?

 

ニューロマンサー

 ウィリアム・ギヴスン作。これも、「虎よ、虎よ!」と同じく、ハヤカワ文庫の棚を見るたびに気になっていたタイトル。サイバーパンク・ブームの火付け役となった作品なのだとか。

 

 電脳空間にダイブする能力を失った主人公が、能力を取り戻すのと引き換えにヤバい仕事に誘われて…という話。トートロジーになっちゃうけど、「ザ・サイバーパンク」という感じの作品。「ザイバツ」が支配する、どんよりと曇った空の下に広がる千葉シティが、いかにもな雰囲気。

 

 「マトリックス」にも大きな影響を与えたそうで、言われてみると共通点がちらほら(電脳世界にジャックインするところとか、「ザイオン」とか)。特に、2つのAIが対峙するという設定に、「マトリックス リローデッド」のアーキテクチャーとオラクルが思い出された。

 

プレイヤー・ピアノ

 カート・ヴォネガット・Jr作。「タイタンの妖女」→「猫のゆりかご」→「スローターハウス5」とヴォネガット作品を読んできてきたので、いつか読みたいと思ってた処女長編。

 

 これから読みます。

 

都市と星

 アーサー・C・クラーク作。なんとなく雰囲気が小川一水の「都市彗星のサエ」(「青い星まで飛んでいけ」収録)と似ていたので購入。

 

 これから読みます。

 

最後に

 (2022/7/1追記)現在、以上にあげた以外にも「エンダーのゲーム」「リングワールドふたたび」「九百人のお祖母さん」「星を継ぐもの」「世界の中心で愛を叫んだけもの」…などを購入して、読み進めていっています。ある程度読み終えたらまた記事にする予定です。

 

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