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銀河英雄伝説日記③雌伏篇 —新展開

最終更新:2021/03/13

英伝のストーリーをざっと振り返りたい人向け。

 

記事を読む前に注意!

あらすじはネタバレ込みでがっつり書いています 。

 

前回の記事はこちら
bookreviewofsheep.hatenablog.com

 

 

銀河英雄伝説③雌伏篇 あらすじ

査問会

自由惑星同盟の政治家たちはヤン・ウェンリーの絶大な人気を恐れ、ヤンをイゼルローン要塞から召還し同盟首都ハイネセンで査問会にかける。副官のフレデリカがヤンを解放しようと奔走するがすでにジャーナリズムもトリューニヒト派の手に落ちており、ヤンは軟禁されたまま事実上の尋問にかけられる。

 

一方銀河帝国は帝国軍科学技術総監の発案で、リップシュタット戦役の時貴族連合が立てこもったガイエスブルク要塞を移動要塞化する。帝国の目的は、ガイエスブルク要塞をイゼルローン回廊に移動させ、要塞を持って要塞を攻撃することだった。移動要塞来襲の報でヤンは査問会から解放されるが、イゼルローン要塞はヤンが帰還するまでの四週間、ヤン抜きで移動要塞と対峙することを余儀なくされる。

 

サブキャラ大活躍

ヤンの腹心たちや、帝国から亡命してきた宿将メルカッツ、そしてユリアンの貢献でイゼルローン要塞は持ちこたえ、侵攻軍を返り討ちにする。追い詰められた侵攻軍は要塞ごと体当たり攻撃をしかけるが、推進装置を破壊され自滅する。要塞撃破に湧く同盟軍だったが、敗走する帝国軍を追って深入りした艦隊は救援軍を率いて駆けつけていた帝国軍の双璧ミッターマイヤーとロイエンタールによって壊滅させられるのだった。

 

再び帝国の侵攻を退けた同盟だったが、その内実はアムリッツァ会戦での損害から未だ立ち直れておらず、人材と物資の不足でインフラが機能しなくなりつつある。そしてヤンの査問会召還と、帝国の移動要塞建造の黒幕だったフェザーンラントではルビンスキーの補佐官ケッセルリンクが暗躍を続ける。フェザーンラントは帝国に対して次なる謀略を実行に移そうとしていた。

 

 

感想—艦隊戦は一休み

ヤンとラインハルトの二人が艦隊戦で火花を散らすこれまでの基調が転換点を迎える。ヤンはイゼルローンに戻ってからは艦隊を指揮するものの、大半の場面では査問会で責め立てられて辟易している。ラインハルトは今回は艦隊を指揮することはなく、帝国宰相として辣腕を振るう。

 

代わって両雄の部下たちにスポットライトが当たる。ラインハルトの部下のミッターマイヤーとロイエンタールの家庭事情が明かされ(ミッターマイヤーが妻帯者だとは思わなんだ)、ヤンの留守にはメルカッツやシェーンコップが奮戦する(この二人は元々は帝国に所属していた人材だ)。そしてユリアンは戦闘機パイロットとしての才能の片鱗を見せる。

 

要塞が絡み戦闘描写も新鮮さを増す。メイン・ポートの封鎖をめぐる攻防は旅順港閉塞作戦を思わせ、メルカッツの率いる駐留艦隊が要塞の対空砲火と連携して帝国軍を追い詰める展開もアツい。

 

総じてこうした新展開が、前回までの食傷気分をきれいに払拭してくれた。1~5巻まで一巻ごとに舞台もテーマも主人公も変わる天冥の標とは違い、ずっと同じ構図が続く本作では飽きが来やすいと思うが、うまくそれを回避していると感じた。

 

フェザーンラントの内情も徐々に明らかになっていき、後々なにかやらかしそうなキュンメル男爵の動向も気になる。ちらちらとしか姿を見せていない地球側の事情もそろそろ明らかになるのか、次巻が気になる。

 

 

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