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銀河英雄伝説日記④策謀篇—終わりの始まり

最終更新:2021/03/13

英伝のストーリーをざっくり振り返りたい人向け。

 

記事を読む前に注意!

あらすじはネタバレ込みでがっつり書いています 。

 

前回の記事はこちら

bookreviewofsheep.hatenablog.com

 

 

銀河英雄伝説④策謀篇 あらすじ

破られる均衡

フェザーンラントはエルウィン・ヨーゼフ2世を誘拐し、自由惑星同盟内に亡命政府を樹立させようと目論む。その狙いは、銀河帝国のローエングラム公ラインハルトに同盟を攻撃する口実を与え、帝国の一強支配をもたらすことだった。彼らの意図を汲んだラインハルトはしかし、計画に協力する条件として通行が制限されていたフェザーン回廊の通行権を要求する。

 

ラインハルトは皇帝誘拐を黙認し、同盟の政治家たちは皇帝の亡命を受け入れ、名ばかりの銀河帝国正統政府が成立する。ラインハルトは断固たる姿勢でこれに臨み、即座に「一億人・100万隻体制」とも言われる侵攻軍を組織する。こうしてフェザーン回廊を経由して同盟に大々的に侵攻する「神々の黄昏ラグナロック」作戦が動き出した。

 

フェザーンの黄昏

イゼルローン要塞ヤン・ウェンリーの身辺にも変化があらわれる。メルカッツが銀河帝国正統政府の軍司令官に指名され、ユリアンフェザーンラント駐在武官の任を受け共にヤンの元を離れることになったのだ。ヤンは帝国軍がフェザーン回廊を通過することを予測し、フェザーンラント市民に警戒心を促すよう密命を与えてユリアンを送り出した。

 

神々の黄昏ラグナロック」作戦の第一段階として陽動部隊のロイエンタールイゼルローン要塞に攻撃を加え、ヤンと互角の戦いを繰り広げる。その救援という触れ込みで帝都オーディンを進発した部隊がフェザーン回廊に侵攻し、フェザーンラントは帝国の手に落ちる。内紛が生じ、ルビンスキーは実子ケッセルリンクを始末して身を隠した。ユリアンフェザーン商人を通して船を手配させて脱出を図る。そして、占領地に降り立ったラインハルトは兵士たちの「ラインハルト皇帝万歳」の声で迎えられるのだった。

 

 

感想—ついに同盟解体か?

1巻のアムリッツァ会戦での大敗以降、自由惑星同盟では社会全体で人材が不足してインフラが機能しなくなりつつある。軍自体も弱体化していて、銀河帝国正統政府に艦隊を与える余裕もなく、帝国に対する防備はイゼルローン要塞とヤン艦隊頼み。フェザーン回廊から帝国軍に襲いかかられたらさすがに同盟は滅ぶんじゃないだろうか。

 

対照的に帝国とフェザーンラントの繁栄はめざましい。内政ではラインハルトの改革は隅々まで行き渡り、帝国軍にもミッターマイヤーやロイエンタール、オーベルシュタインなどの優秀な人材が揃っている。フェザーンラントは帝国に占領されたとはいえ、ユリアンが「流れた血を飲んでふとる者」と評したように経済的には申し分なく繁栄している。

 

一方のヤンは、

「組織のなかにいる者が、自分自身のつごうだけで身を処することができたらさぞいいだろうと思うよ。私だって、政府の首脳部には、言いたいことが山ほどあるんだ。特に腹だたしいのは、勝手に彼らが決めたことを、無理におしつけてくることさ」

とこぼすように首脳部に足を引っ張られて思うように動けずにいる。もしかすると、ヤンが同盟を見限り政治的なリーダーになり、ヤンとラインハルトの両雄が国の指導者として並び立つ展開もあるのだろうか。そうすれば物語的にもつり合いのとれた構図が出来上がると思うのだが。

 

今気になるのは前巻で思わせぶりな登場をしながらもまだ目立った動きを見せていない、ヒルダの従弟のキュンメル男爵と、ヤンの旧知の駐ハイネセン弁務官ボリス・コーネフの二人。この二人が同盟滅亡の危機にどう動くか楽しみだ。

 

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