ひつじ図書協会

SFおおめ、恋愛すくなめ、「天冥の標」考察マシマシの本の感想ブログ。

「恥知らずのパープルヘイズ」上遠野浩平

本をリレー形式に繋げて紹介する企画「読書リレー」。第17回の今回は人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ作品「恥知らずのパープルヘイズ」(上遠野浩平)です。

 

前回の「悟浄出世」の記事はこちらから

www.bookreview-of-sheep.com

 

 

「恥知らずのパープルヘイズ」は、「ジョジョの奇妙な冒険」の第五部「黄金の風」の後日譚を描くスピンオフ作品。

  

今回は「ジョジョ」を読んだことがないという方向けの記事になっているので、スタンドの話とかを聞きたい!というジョジョファンの方はこちらへどうぞ

www.bookreview-of-sheep.com

 

「黄金の風」 あらすじ

まずはスピンオフ元の、「ジョジョの奇妙な冒険」第五部のあらすじから。

 

舞台はイタリア、ネアポリス。主人公ジョルノ・ジョバァーナは、街を牛耳るギャング団「パッショーネ」に入団する。ジョルノの目的はパッショーネを乗っ取り、街から麻薬を駆逐することだった。

 

入団試験をクリアしたジョルノは、ブローノ・ブチャラティ率いるチームに配属される。同じ頃、パッショーネのボスに娘がいることが分かり、ブチャラティ・チームはボスの娘トリッシュ・ウナの護衛任務につく。

 

 次々に襲いくる暗殺者たちを退け、チームはトリッシュをボスの元へ送り届ける。しかし、ブチャラティは娘を呼び寄せたボスの真の意図を知り、パッショーネに反旗を翻すことを決心する。

 

元々ボスを倒すことが目的だったジョルノを始め、チームのメンバーは組織ではなくブチャラティについていくことを決めた。ただ一人、組織を裏切る決心がつかなかった男、パンナコッタ・フーゴを除いて...。

 

f:id:sheep2015:20210906000044p:plain

恥知らずのパープルヘイズ あらすじ

「黄金の風」本編で途中離脱したフーゴが主人公に抜擢される。多くの犠牲を伴いながらジョルノたちがボスを倒して、ジョルノは麻薬を扱わないクリーンな組織づくりをしていた。そしてフーゴはかつてのチームメンバーであるグイード・ミスタに呼び出される。

 

ジョルノが新たなボスとして新体制を築いた今、チームを一度離反したフーゴは微妙な立場にいた。ジョルノへの忠誠を示すため、フーゴはパッショーネの負の遺産「麻薬チーム」の始末を命じられる。

 

麻薬チームの最重要人物「マッシモ・ヴォルペ」はフーゴの大学生時代の級友だという。フーゴはかつてボス親衛隊にいたシーラEや、組織から派遣された胡散臭い男カンノーロロ・ムーロロと共に、麻薬チームの本拠地シチリア島へ向かう。

 

「黄金の風」でのフーゴの離反について

「黄金の風」でのフーゴは、はっきりいって影が薄いキャラクターです。途中離脱した後は最後まで登場せず*1、敵との戦闘シーンも一回しかありません。

 

 そして本作では「ブチャラティ・チームからのフーゴの離反」が焦点になります。

 

パッショーネを裏切ることは、死を意味します。生き残れる確率を考えれば、ブチャラティについていかないのは「賢い」選択ではあったのです。けしてそれが「正しい 」道ではないにせよ。しかし、その道を選んだのはフーゴだけでした。

 

去っていくチームメンバーを見送るフーゴは「僕は……正しい馬鹿にはなれない!」と呟きます。この一言が、フーゴの葛藤をよく表していると言えるでしょう。

 

辞めた後の辛さ

結局ブチャラティたちの裏切りはある意味成功し、ブチャラティの意志を継いだジョルノが新たなボスになりました。これを知ったときのフーゴの気持ちは複雑だったと思います。

 

 例えるなら、練習が辛すぎて「勉強に集中したいから」と理由をつけて部活を辞めた後、部に残った友達が頑張って部活を続けているのを見ていたたまれなくなる…みたいな感じでしょう。

 

麻薬チームと死闘を繰り広げながら、フーゴはチームを離れた自分の過去と向き合います。あの時、なぜ自分はブチャラティたちについていけなかったのか。そして、ジョルノ率いる新生パッショーネに加わるか、それともギャングから足を洗うのか。果たしてフーゴは今度こそ「一歩」踏み出すことができるのでしょうか。

 

 

前回との繋がり、次回予告

「山月記」、「悟浄出世」、「恥知らずのパープルヘイズ」と、一歩踏み出せない系の主人公が登場する小説を紹介してきました。

 

次回は、ノベライズのあり方を考えるために「The Book」(乙一)を紹介します。

 

 

 

関連記事はこちらからどうぞ

www.bookreview-of-sheep.com

 

 

www.bookreview-of-sheep.com

 

*1:アニメでは少しだけ再登場するシーンがある