ひつじ図書館

本と映画の感想ブログです。SFおおめ、恋愛すくなめ。

初見が観た「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」

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「初見でも絶対に楽しめる」と言われている映画「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」。前情報ゼロで観てきた感想記事です。結論から言えば、素晴らしい作品なので絶対に劇場で観ておいた方がいいです。

 

「 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」はミュージカルを原作に漫画、アニメ、ゲームで展開されるメディアミックス作品。今回紹介する劇場版は、初めての完全新作の映画である。

!注意!

私は映画を観るまで「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を一ミリも知らない、いわゆる「ミリしら」でした。そのため、知らず知らずのうちに原作ファンの方の地雷を踏み抜いている可能性もありますので、閲覧にはご注意下さい。

 

 

なぜ、初見でも楽しめる?

 本作が初見でも楽しめるのは、ありったけのリソースを演出に振っているからです。「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は演出の力で、初見をも魅了するのです。

 

「エヴァンゲリオン」しかり、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」しかり、原作アニメがあるアニメ映画は、原作を見ていないとその良さが分からないことがままあります。

 

特に「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」については個人的に苦い思い出がありまして...。「開始5分で泣ける」と友達から聞いて、うっかり原作を見ずに映画を観てしまった結果「???」となるだけで消化不良に。友達に確認したら、「(原作を見ていたら、冒頭での伏線回収で)開始5分で泣ける」という意味だった、というわけです。

 

www.youtube.com

 泣くまではいかなくても十分楽しめたからまぁよいのですが…

 

ともかく、何が言いたいかというと、ストーリーで感動させるような作品は予習無しには十分に楽しめないことが多いということです。そして「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」はこの問題を軽やかに乗り越えています。

 

何故ならば、本作は「ストーリー」そのものもさることながら、その「見せ方」を徹底的に洗練させている作品だからです。

 

宗教に全く関心がなくても、ミサの風景を見ると荘厳さを感じるように、「劇場版 少女歌劇 レヴュー☆スターライト」の洗礼を受ければたとえ何を見たのかは理解できなかったとしても、「何かすごいものに触れた」ということははっきりとわかると思います。それほどの魔力を、この映画の演出は持っています。

 

 

「見せ場」と「幕間」

演出のすばらしさにばかり触れてきましたが、よくよく考えると本作には鑑賞者のことを考えた緻密な構成が隠されています。

 

一言で言うと、途中で息切れしない、メリハリがある構成になっているのです。始終ハイテンションなノリを続けるという愚はおかさず、盛り上がる場面と幕間がうまい具合に配置されています。

 

基本的な構成としては、主人公たちが二人ずつ思いの丈をぶつけ合って戦う激しい場面(これが作品名にもある「レヴュー」です)と、主人公の過去などが描かれる幕間が交互にやって来ます。気持ちが盛り上がった後に幕間で一度クールダウンして、次の盛り上がりに備えることができるという、観る側のことが考えられた構成です。 

 

「繰り返されるモチーフ」と考察

観る側への配慮という点で言えば「飛ぶ孔雀」の記事でも言及した「繰り返されるモチーフ」の手法がここでも用いられています。

 

以前「飛ぶ孔雀」(山尾悠子)の感想の中で、「ストーリーを掴めない時には、繰り返し登場するモチーフがストーリーの代わりのような役割を果たす」という話をしました。そして「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」にも繰り返し登場するモチーフがいくつかあります。キリン、トマト、肩掛け付のユニフォーム、東京タワー、ポジションゼロの記号。

 
www.bookreview-of-sheep.com

 

これらのモチーフに込められた意味は分からなくても、再登場するたびに「あ、これ見たことがある!」というカタルシスが得られます。そしてこのカタルシスが、観続けられる活力になるのです。まぁ、本作の場合は演出の魅力が突き抜けているのでそちらのカタルシスの方が大きいような気もしますが。

 

本作の場合、これらのモチーフは映画を観終えた後に真の威力を発揮します。いわゆる、「考察が捗る」というやつです。これらのモチーフに込められた意味をあれやこれやと考えて、作品を肉付けしていく楽しさ。はてなブログで「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の考察記事のまとめが作られたことからも分かるように、考察界隈は非常に賑わっているようです。

 

blog.hatenablog.com

 

 

私の場合、原作を観ていないのでこうした考察の楽しさに与ることは出来ないはずだったのですが、それでもおこぼれくらいはもらうことができまして…。

 

そもそも私が本作を観たのは、原作ファンの先輩から「初見でも絶対楽しめるから!観て!」と勧められたからです。当然観終わった後には先輩に感想を報告するわけですが、そこで私がぶつけたのが「あの何度も出てくるテトリスのTミノみたいなのって、何だったんすか?」という疑問でした。

 

原作ファンの方には失笑されるかもしれませんが、テトリスのTミノ=「ポジションゼロ」のことです。

ポジションゼロ

地下劇場のセンターバミリの通称。舞台のセンターポジション。
レヴューに勝利した舞台少女は、武器をバミリに突き立て「ポジションゼロ!」と宣言する。

 出典:

revuestarlight.boom-app.wiki

 

苦笑交じりの先輩に正体を教えてもらった時には、積年の謎が解けたようなすがすがしい気持ちになりましたね。あれがアハ体験というやつでしょう。多分。

 

いずれにしても、初見勢であっても「繰り返されるモチーフ」を認識することは出来るのであって、「あれはどういう意味だったんだろう?」という素朴な疑問から考察の沼へとはまっていける、ということです。

 

最後に:二周目を生き残れるか?

観終わった瞬間から、もう一度観ようと決めていたのですが先輩から「今ならアニメ版がyoutubeで期間限定で公開されているよ」との託宣を頂きまして(追記:現在は第一話のみの公開になっているようです)

 

www.youtube.com

 

思わず徹夜で一気見してしまいました。「映画のあのシーンって、こういう意味だったのか!」という答え合わせをすることができとても面白かったのです。果たしてアニメを見た状態でもう一度映画を観ると一体どれほどの感動が沸き起こるのか、怖いような楽しみなような気持ちです。