ひつじ図書協会

SFメインの読書ブログ。よく横道にそれます

好きなタイトル発表ドラゴン

♪好きなタイトル発表ドラゴンが
好きなタイトルを発表します

七五調

パワーワード

押韻

間に「の」が挟まるやつ

正式名称が わからないタイトルも

好き好き大好き

ということで、好きな小説のタイトルを発表します。

七五調

 「知らざぁ言って、聞かせやしょう」。日本人のDNAに刻み込まれている「七五調」。7音節と5音節をつなげるだけで、なぜかリズム感が生まれるこの不思議。

 

アルジャーノンに 花束を*1

マーダーボッド ダイアリー*2

宇宙の果ての レストラン*3

宇宙をぼくの 手の上に*4

ライ麦畑で 捕まえて*5

何かが道を やってくる*6

 

 この5作品はすべて海外の小説の邦題。翻訳者が意図的に七五調を選んだのか、海外小説の邦題には七五調が多い気がする。ちなみに最後のは原題も

 

something wicked     this way comes

 

 と七五調になっているから驚き。さらには、

 

さようなら 今まで魚を ありがとう*7

 

 なんていう、完全に五・七・五になっているタイトルもある。

 

 国内の作品でもちゃんと七五調はある。例えば

 

宇宙ラーメン 重油味*8

同志少女よ、敵を撃て*9

 

 だとか。さらに

 

夜は短し 歩けよ乙女*10

 

  なんていう、七、七になっているタイトルもあるわけで、これとさっき出てきたのを組み合わせると

 

 さようなら 今まで魚を ありがとう

 夜は短し 歩けよ乙女

 

 なんていう、キメラ和歌タイトルの完成である。

 

パワーワード

 youtubeだと伏字にされたり、放送禁止用語になっていたりする言葉をあえて使うことで、インパクトのあるタイトルになることもある。

 

さあ、気ちがいになりなさい*11

死ね、名演奏家、死ね*12

大進化どうぶつデスゲーム*13

くたばれPTA*14

 

 規制が入るからか、この種のタイトルはあまり多くは見つからない。珍品である。

 

押韻

 七五調が「和」なら、こちらは「洋」。

 

ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち

アルファ・ラルファ大通り

クラウン・タウンの死婦人*15

メイスン&ディクスン*16

 

 カタカナ部分が韻を踏んでることからわかるように、こればかりは英語を直訳しないと味が出ない。

 

 残念ながら、国内の小説だと韻を踏んでいるタイトルを思いだせなかった。知っている人いたら情報求む。

 

間に「の」が挟まるやつ

 「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」。ジブリ作品のみならず、「の」が挟まるといい感じになるタイトルは多い。

 

重力の虹*17

競売ナンバー49の叫び*18

 

 こちらは海外の小説。ちなみに一つ目の「の」は「of」で、二つ目は「’s」だ。

 

くらやみの速さはどれくらい*19

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?*20

たった一つの冴えたやり方*21

 

 海外SF3連発。さっきからやたらとSFのタイトルが多いのは、これを書いている人がSF好きであり、このブログはSFがメインのブログだからである。

 

高い城の男*22

タイタンのゲーム・プレイヤー*23

ティモシー・アーチャーの転生*24

 

 最後は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のフィリップ・K・ディックの作品3連発で〆る。

 

最後に

 好きなタイトルを発表しただけで、本文では中身に全く触れていない。読書ブログがこんなんでいいのかとも思うが、意外とアリなんじゃないかとも思う。

 

 図書館や古本屋の棚の間を歩きながら、あてもなく本を探すとき、唯一の手掛かりになるのはタイトルなわけだ。だから、作者or翻訳者は全力をかけてタイトルを考えてくるわけで*25自分にしっくりくるタイトルをつけてくれる人の手になる本は、内容もしっくりくる、というのが私の持論だ。というわけで

 

 好きなタイトルが

 また出てきたその時は

 発表したい

 発表したい

 

※コメントでもあなたの好きなタイトルをお待ちしています

 

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関連書籍

 

*1:ダニエル・キイス作。知性を劇的に向上させる手術を受けた主人公、チャーリィ・ゴードンは高い知性がもたらす豊かな世界に喜びを感じるが、次第に高すぎる知性がもたらす周囲との壁に苦しむようになる。最後の一節は涙なしには読むことができない。「リズムは七五調。『夏空やアルジャーノンに花束を』なんて、上5をつければそのまま俳句だ。哀愁が漂い、彩りも豊かである。しびれるねぇ」とは、「SFハンドブック」中での中井紀夫氏の紹介文。

*2:マーサ・ウェルズ作。かつて暴走事故を起こし人間を虐殺した過去を持つアンドロイドが、自分を人間として扱ってくれた雇い主に報いるために奮闘するSF。中原尚哉による翻訳では主人公こと殺人ボットの一人称が”弊機”となっており独特の味わいがある訳文になっている。

*3:ダグラス・アダムスの人気ドタバタSFシリーズ「銀河ヒッチハイク・ガイド」の2作目。高速道路建設のために邪魔な民家を立ち退かせるノリで地球が吹っ飛ばされたりするトンデモ展開が売りのシリーズだが、2作目となる本作では「いつ行っても宇宙の最後の瞬間を楽しめるレストラン」「惑星を破壊するレベルにやかましいロック・バンド」などぶっ飛んだ設定は健在。

*4:フレデリック・ブラウンの短編集のタイトル。このタイトルの短編が収録されているというわけでは無い。ちなみに収録作は後述の「さぁ、気ちがいになりなさい」と結構被っている。

*5:サリンジャー作。主人公ホールデン・コールフィールドは、子供の純粋さからは抜け出しているが、大人の俗悪さには染まれない宙ぶらりんな年齢の少年。放校処分にされた彼は、独特の語り口で世界を評しながらニューヨークを放浪する。

*6:レイ・ブラッドベリ作。ある田舎町にやってきたサーカスには、邪悪な秘密があった。

*7:さっきも出てきた「銀河ヒッチハイク・ガイド」シリーズの4作目。破壊されたはずの宇宙に帰ってきた主人公。懐かしい生活を取り戻すが、そこには一つだけ欠けているものがあった。果たしてここはいったいどこなのか?余談だが原題”So long and thanks for all the fish. ”は、海外では退職のあいさつのメールにも使われることもある一種のミームになっている。

*8:柞刈 湯葉(いすかり ゆば)の短編集「人間たちの話」所蔵のグルメSF。舞台は「消化管のあるやつは全員客」をポリシーに、系外人(つまりは宇宙人)向けにラーメンをふるまうラーメン屋。有機溶媒の体液に、珪素質の細胞膜を持つ系外人には重油のスープとシリコンの麺を提供したりと系外人への配慮を欠かさない店主の下に、ある日空を覆うほどの巨大な客がやってきて…

*9:逢坂冬馬作。独ソ戦下で故郷の村を焼かれたソビエトの少女は、女性だけで構成される狙撃兵部隊に配属されるが…

*10:森見登美彦の、いわゆる京都ものの代表作。京都の町を舞台に、冴えない大学生の主人公が意中の後輩と付き合うために奮闘するコメディ。同じような設定の「四畳半神話体系」もそうだが、こんな大学生活を送りたかった、と思わせられる罪深い一冊。

*11:さっきも出てきたフレデリック・ブラウンの短編集。表題作は、発狂したふりをして精神病院に潜入することになった新聞記者が、実は…という設定。原題は”Come,and go mad”で、邦題と音が似ている。ちなみに訳者はショートショートで超有名な星新一。

*12:セオドア・スタージョン作。「マエストロを殺せ」という穏当なタイトルに変えて訳されることもあるらしい。…というエピソードしか知らない。「バーナード嬢曰く。」という漫画に出てきたのでタイトルだけ知っている。この漫画、作者の施川ユウキ氏がSF好きなこともあり、グレッグ・イーガンはじめ古典SFがたくさん出てくるので非常におすすめ。

*13:草野原々作。太古のサバンナに飛ばされた女子高生たちが、生き残りをかけてデスゲームを繰り広げる。実はこれも読んでいない本。最初だけ読んだのだが、いつの間にかなくしてしまって買いなおすのも癪でそのままになっていしまっている。本屋で同じ作者の「大絶滅恐竜タイムウォーズ」という本も見かけたことがある。姉妹作なのかな?

*14:筒井康隆の短編。PTAからのバッシングを受け、次第におかしくなっていくSF作家(漫画家だったかな?)の姿を描く。

*15:この三作はすべて、SF作家コード・ウェイナー・スミスの短編。「人類補完機構全短編2 アルファ・ラルファ大通り」に3作とも収録されている。「人類補完機構」シリーズは、複数の短編と長編「ノーストリリア」で構成されている。核戦争による世界の荒廃を経て誕生した「補完機構」と共に紡がれる人類の未来史を描いた内容となっている。補完機構による完璧な福祉の提供は平和をもたらしたが、人類の衰退を招く。ここに至り、補完機構は疫病や争い、貨幣制度等を復活させる「人間の再発見」という運動を始める。その発端となったのは、動物から生み出された改造人種「下級民」たちの静かな反乱だった(クラウン・タウンの死婦人)

*16:現代アメリカの作家、トマス・ピンチョン作。最近はピンチョンにはまっているけど、この作品はまだ読んでいない。というか次に読む予定。メイスンとディクスンのコンビが、測量をしながらアメリカ大陸を横断していく話だとは聞いている。

*17:3年間くらいずっと積読しているトマス・ピンチョンの小説。筒井康隆の「文学部唯野教授」をきっかけに大学生協で買ったはいいが、「百科全書的」とも称される該博な内容と、あまりの長さ(いわゆる「レンガ本」と呼ばれる厚さである。しかも上下2巻ある。)に挫折してしまっている。第二次大戦末期、ナチス・ドイツが撃ち込んでくるV2ロケットの着弾点を予測する男を追う、というストーリー(のはず)

*18:同じくピンチョンの作品。大富豪の遺言執行人に指名された主人公が、遺産を整理していくうちに歴史の裏に存在する謎の郵便組織の影を垣間見る、というストーリー。ピンチョンは、「秘密結社もの」を書く作家の中では3本の指に入るらしい。

*19:こちらも「バーナード嬢曰く。」で言及されていた作品。例によってまだ読んでいません

*20:フィリップ・K・ディック作。本に触れる人なら一度は耳にしたことがある、有名タイトルではないだろうか。人間に紛れ込んだアンドロイドたちを狩る賞金稼ぎが主人公だが、ドキドキワクワクの冒険譚というよりは、なんだか虚無的で疲れた雰囲気の作品。「ブレードランナー」というタイトルで映画化され、カルト的な人気を誇ったらしいが見たことはないです。

*21:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア作。登場人物たちのロマンスや、冒険心などに焦点を当てて異種知性とのコンタクトを描いた3つの作品が収録されている短編集。ブラッドベリの「刺青の男」、あるいは山本弘の「アイの物語」のような構成になっており、歴史を学ぶために図書館を訪れたカップルに、司書が勧めた3つの物語という形式になっている。

*22:またまたフィリップ・K・ディック作。ナチス・ドイツと大日本帝国が第二次大戦に勝利した平行世界の物語。戦勝国側として威張り散らす日本人が出てくるわけだが、海外の作品にありがちな、ニンジャやゲイシャが出てくるトンデモ日本観はほとんどみられない。

*23:またまた(以下略)。出生率の低下により激減した人類は、広大な土地を賭け金にした「ゲーム」に興じる日々を送っていたが...

*24:遺作となった作品。SF色は薄く、処女作「市に虎声あらん」(まちにこせいあらん)と似た、人間の「救い」について描かれた作品となっている。「ヴァリス」「聖なる侵入」とあわせて「ヴァリス3部作」と呼ばれる。まだこの2作は読んでいない。

*25:例外もいると思う。例えば夏目漱石。「吾輩は猫である」のタイトルを「猫伝」にしようとしたり、あまりにも「先生、それから続きは?」と言われるから「それから」というタイトルをつけてみたり、タイトルをあまり気にしないエピソードが多い。