「デビルマンって、tiktokでめっちゃ使われてる「デビルマンのうた」の元ネタだよね?」
「わかるー!てかそのイメージしかないwww」
「デビルマンのうた」で盛り上がっていた前の席の女子高生たちも、永井豪の原作の前半しか読んでいなかった私も、上映前にはまさか今から上映されるアニメがヤバい代物だとは全く知らなかったのだった…。
というわけでこんにちは。「DEVILMAN crybaby」全10話を映画館で一気見してきたsheep2015です。今回は、「四畳半神話体系」の湯浅政明が監督をつとめた、永井豪の漫画「デビルマン」原作のアニメシリーズ「DEVILMAN crybaby」を紹介します。ネタバレありです。
あれは 誰だ 誰だ 誰だ
あれは デビル デビルマン デビルマン
主題歌「デビルマンのうた」が有名なテレビアニメ版とは違い、舞台を2010年代に移した本作。ネットフリックス*1での配信であることを生かして、テレビ放送では描写できなかった要素も含めて原作漫画の内容を忠実に再現することを目指して製作されたそうです。
それでは、印象に残ったorトラウマになった シーンを3つ紹介していきたいと思います。
①視聴覚室でAVを見るシーン
第二話「片手で十分だ」より。悪魔アモンを取り込みデビルマンとなった主人公、不動明。それまでの内気でひよわな少年からは打って変わり、本能をむき出しにするワイルドな青年への変貌を遂げます。
そんな大変身を遂げた彼が学校で遂げた偉業が、「視聴覚室での爆音でのAV視聴」。他の生徒が「やばいよ、外に聞こえてるよ!」と慌てふためいているのを尻目に、どっかり足を開いてAVを見るシーンには一種の爽快さを感じます。本能に忠実に行動する悪魔の影響がよく現れているシーンだと思います。
正直、シリーズの前半は同じく湯浅政明が監督を務めたドタバタ青春アニメ「四畳半神話体系」とタッチが似ていることもあって、「お色気要素を増した四畳半神話体系」のような気分で観ていました。
ただ、津田健次郎が声を当てているキャラクターが第三話で早くも退場したりと、不吉な前兆は前半からすでにあらわれていたんですよね…。
②「デビルマンのうた」、2度目の登場シーン
前席の女子高生によればtiktokなどでよく使われていた(らしい)「デビルマンのうた」ですが、本作では2回しか登場しません。そもそも主題歌は全く別の歌に代わっています。こちらの新主題歌、電気グルーヴの「MAN HUMAN」ですがスタイリッシュな雰囲気で結構好みです。
さて、旧主題歌こと「デビルマンのうた」は作中で2回流れるのですが、1回目は問題ありません。第二話で不動明が相棒の飛鳥了とバイクを飛ばすシーンで流れるリメイクされた「デビルマンのうた」はなかなかキマっています。ただ、2回目のシーンが問題なのです。
シリーズ後半、悪魔の存在が公になったことで世界の治安は急激に悪化し「悪魔狩り」と称して無実の人間が殺されていきます。そんな中、不動明が居候している牧村家では、母の亜樹子が息子の太郎を連れて姿をくらましてしまいます。
ヒロインの牧村美樹の父ノエルが2人を探しに行きますが、彼がようやく見つけた亜樹子は悪魔に食べられている変わり果てた姿でした。動転しつつも、姿が見えない太郎に電話をかけるノエル。しかし、無慈悲にも太郎の携帯の着信音は、亜樹子を食べる悪魔のポケットの携帯から流れ出るのでした。
亜樹子が出奔したのは、悪魔化しかけていた太郎が周りに迷惑をかけないようにするためであり、最後は悪魔化した太郎に食われてしまった…ということが分かる鬱シーンなのですが、太郎の携帯の着信音が「デビルマンのうた」なのです。
「デビルマンのうた」がこんな鬱シーンで流れて、正直ドン引きしました…が、この後の鬱展開を考えればこんな演出は序の口でした。
③ヒロイン、牧村美樹の最期
不動明が人間に化けた悪魔であるというデマが流され、牧村家に暴徒が押し寄せます。おりしも明はデマを流した張本人ので飛鳥了を問い詰めるために牧村家を離れており、牧村美樹は大ピンチに陥ります。
まだ本作の恐ろしさが分かっていなかったので、牧村美樹が助かるんじゃないか、と心のどこかで思いながら見てました。明も美樹を助けるために牧村家にダッシュしていたし。
ところが、明の助けが間に合いそうと見せかけて、全然間に合いません。暴徒から逃げる美樹の背中に、ナイフが迫ります。さらに、刺されるだけかと思いきや、美樹の背中はナイフで長々と切り裂かれれます。そしてとどめに、美樹の死体はさらし首にされます。
ヒロインが死ぬのならまだ耐えられたましたが、まさか首を切られて、しかもその首が棒の先に刺されて暴徒たちのおもちゃにされるとまでは思わなかったので本当にショッキングでした。原作の「デビルマン」の、情け容赦のなさを思い知りましたね。
上映終了後、「デビルマンのうた」で盛り上がっていた女子高生たちは、蒼白な顔で、無言で席を立って帰っていきました。私もきっと同じような顔をしていたと思います。
まとめ
原作の「デビルマン」ですが、ユリイカの特集「奇書の世界」(2023年7月号)でも取り上げられています。「今、日本語で読める「奇書」11選」の中にランクインしており、「漫画表現の歴史を変えた「昭和の黙示録」」として紹介されているのです。
伝説によれば、著者永井豪氏は本書、特にその後半を執筆中、しばしばトランス状態に陥り、「何故こんなものを描けたのか解らない、覚えてない」まま、只管執筆を続けたという。*2
という恐ろしげな都市伝説も紹介されており、「デビルマン」の底知れなさは増すばかりです。ちなみにこの記事によると、漫画デビルマンは豪華復刻版で読めるようになっているそうです。
ちなみに、「DEVILMAN crybaby」もネットフリックスで観ることができます。個人的にはラップのシーンがかなりお気に入りです。