ひつじ図書協会

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インディは過去へ、マーヴェリックは未来へ向かった

 こんにちは、sheep2015です。今回は小説ではなく映画の話。最近「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」「トップガン・マーヴェリック」を観たのですが、対照的で面白いなと思ったのでそこのところを書いていきます。

 

 ※ネタバレありです!!※

 

 以下、「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を「インディ」、「トップガン・マーヴェリック」を「マーヴェリック」と略します。

①「息子」の運命

 まず最初に実感した違いが、それぞれの作品での「息子」の運命です。ここでいう息子とは、「クリスタル・スカルの王国」で登場したインディ・ジョーンズの息子マット・ウィリアムズ、そして「トップガン」で登場した、”グース”・ブラッドショーの息子、”ルースター”・ブラッドショーのことです。

 

 二人の明暗ははっきりと分かれます。マットはそもそも死んでおり(!!)セリフの中でしか登場しません*1。一方でルースターはメインキャラとして、マーヴェリックの命を救う大活躍をします。

 

 一応、「インディ」にもインディの旧友の娘ヘレナという次世代を担うキャラが登場しますが、今作が初登場のヘレナでは、前作から登場していたマットの死というショッキングな出来事を打ち消せていないように感じました。

 

 このように、次世代を担う「息子キャラ」が「インディ」ではそもそも登場せず、「マーヴェリック」ではバッチリ活躍するのが、大きな違いだと感じました。

 

②敵はだれか?

 続いて、作中での「敵」について。大雑把にまとめると、「インディ」でが過去作のお約束に沿った昔なじみの敵が、「マーヴェリック」では時代の移り変わりに沿った新しい敵が登場します。

 

 「インディ」での敵は、第二次大戦でのナチスの勝利を夢見る科学者ユルゲン・フォラー。シリーズでは一作目「レイダース/失われたアーク」、そして三作目「最後の聖戦」でもナチスが敵として登場してきており、ある意味「古代の遺物をめぐってナチスと戦う」というシリーズのお約束に沿った敵です。

 

 一方「マーヴェリック」での敵はウラン濃縮プラントを稼働させようとする「ならず者国家」です。過去作の「トップガン」では、明言はされていませんが「ソ連っぽい」敵機と戦っていたことを考えれば、「社会主義国ソ連との戦い」から「テロとの戦い」へとアメリカがシフトしていった時代背景を踏まえているといえます。

 

 まぁ、「マーヴェリック」ではウラン濃縮プラントがある敵地がロシアっぽい北の国なので、ある意味敵は変わっていないといえるかもしれませんが、作中で国名が明言されているわけではないので…。

 

 シリーズのお約束に沿って、時代遅れ感があってもちゃんと(?)ナチスを登場させた「インディ」と、時代の流れに合わせて新しい敵を登場させた「マーヴェリック」、といったところでしょうか。

 

③骨董品と次世代機

 3つ目は、作中に登場するギミックについて。簡単に言えば、「インディ」では古臭いギミックが、「マーヴェリック」では最新鋭のピカピカのギミックが登場します。

 

 「インディ」では物語のカギを握る遺物「アンティキティラ」をはじめとして、古代の遺物や骨董品のような設備が次々登場します。終盤ではフォラーがわざわざナチス時代の爆撃機やらナチス将校の制服やらを持ち出してきて、かつてのナチスになりきるシーンもありますし。

 

 総じて「インディ」では「過去の遺物」が舞台装置として大活躍します。終盤ではなんと実際に過去に向かってしまうという、シリーズでも例を見ないオドロキ展開が待っていますし。

 

 一方で、「マーヴェリック」では序盤でマーヴェリックが空中分解させた次世代の超音速テスト機「ダークスター」を始めとする最新鋭の設備が登場し、終盤でもマーヴェリックは最新鋭の第五世代戦闘機と戦うことになります。

 

 とはいえ、こうした舞台装置の古さ、新しさについては、作品の性質を考えれば当然のことかもしれません。そもそも「インディ」の舞台はアポロ11号の月面着陸が成功した1969年で、まだ携帯電話も一般に普及していなかった時期です。一方の「マーヴェリック」の舞台は21世紀、誰もが普通にスマホを使っている時期なわけで、舞台装置の新旧が際立つのはしょうがないでしょう。

 

シリーズの性格の違いが色濃く出た?

 こうした違いをふまえて、本記事には、「インディは過去へ、マーヴェリックは未来へ向かった」というタイトルがついているわけですが、最後に考えたいのがなぜこのようにな違いがでたのかということ。それは、どちらの作品もシリーズの性格を色濃く出した続編だったからではないでしょうか。

 

 力を持った遺物を巡ってナチスと戦う「インディ」と、戦闘機を駆って正体が明言されない敵と戦う「トップガン」。この方向性はどちらの作品もしっかり受け継いでいるわけです。その結果、考古学者が主人公の「インディ」は過去に向かい、ジェット戦闘機のパイロットが主人公の「トップガン」は未来に向かったのは必然だったのでしょう。

 

 個人的には先述したように次世代を担う「息子」がインディでは冷遇されているのが残念でした。ラストシーンを比べても、ルースターという次世代へとバトンをつないだ「マーヴェリック」に対して、インディでは結局老齢のインディ・ジョーンズが元妻と復縁しただけ(だけ、というと怒られそうな気もしますが)。なんだか「インディ」はだいぶん後ろ向きだな、と感じてしまったり。

 

 とはいえ、どちらの作品もシリーズが積み上げてきたものを最大限に生かしたとてもいい続編だったと思います。小さいころ、親と一緒にDVDで「レイダース/失われたアーク」や「トップガン」を観ていましたが、まさか劇場で続編を親と一緒に観られる日が来るとは思ってもいませんでした。

 

 「過去作は好きだけど、思い出が壊されるのは嫌だからちょっと…」という理由で視聴をためらっている人には、思い出ブレイカーとなる危険は全くないのでぜひとも観たいただきたい、作品です。

 

*1:「クリスタル・スカルの王国」でも、「最後の聖戦」に登場したインディの父が死んでいましたし、なんでこうキャラが続投しないんですかね…